交通事故に遭った際、「これは人身事故? それとも物損事故?」と疑問に思う方は少なくありません。

実務上はどちらであっても全ての補償が受けられるので、結論としては相手方に「行政罰や刑事罰」を求めるなら「人身事故」、求めないのであれば「物件事故」で大丈夫です。

両者の根本的な違いは「人の死傷の有無」であり、たとえ軽い怪我でも体に影響があれば人身事故として扱う事になっています。あくまでも警察行政の手続き上の都合で、物損事故であってもすべての補償が受けられます。

ただし、安易に物損事故として処理してしまうと、過失割合で揉めた時などに証拠が不十分になります。そのため適切な治療費や慰謝料を受け取れなくなる可能性が出てくるので、一定の注意点はあります。

この記事では、人身事故と物損事故の7つの相違点を一覧表で分かりやすく比較し、慰謝料や保険(自賠責・任意)、行政・刑事処分、警察が作成する書類、損害賠償請求の時効に至るまで、あらゆる側面からその違いを徹底解説します。

さらに、一度物損事故として届け出た後で人身事故に切り替える具体的な手続きや、事故発生後の正しい対応の流れも網羅しているため、この記事を読めば、ご自身の状況でどう行動すべきかが明確になり、損をしないための知識がすべて手に入ります。

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人身事故と物損事故の基本的な違い

交通事故は、人の死傷の有無によって「人身事故(じんしんじこ)」と「物損事故(ぶっそんじこ)」の2つに大きく分けられます。

ちなみに

一般的には「物損事故」と言いますが、警察では「物件事故」が正式の表現です。

事故がどちらに分類されるかによって、形式上、その後の慰謝料請求、保険の適用、法的な罰則などが変わります。実務上は対して変わりませんが、車の運転をするなら知っておいたほうが良いでしょう。

警察に交通事故の届け出をすると「交通事故証明書」が発行され、この書類でどちらの事故として扱われているかを確認できます。

ここでは、それぞれの事故がどのようなものなのか、基本的な定義から詳しく見ていきましょう。

人身事故とは死傷者が発生した事故

人身事故とは、交通事故によって人が死亡したり、怪我をしたりした場合を指します。

怪我の程度は関係なく、骨折などの大怪我はもちろん、むちうちや打撲、かすり傷といった比較的軽い症状であっても、医師の診断書を警察に提出すれば人身事故として扱われます。

車が壊れるなどの物的損害と人的損害の両方が発生した場合も、一般的に人身事故として処理されます。

人身事故として扱われると、加害者は運転免許の違反点数が加算される行政処分や、罰金刑や懲役刑といった刑事処分の対象となります

また、被害者は治療費や休業損害、そして精神的苦痛に対する慰謝料などを加害者側に請求できるのが大きな特徴です。

物損事故とは物が壊れただけの事故

物損事故とは、交通事故による被害が物的な損害のみで、人の死傷がない場合を指します。 例えば、以下のようなケースが物損事故に該当します。

  • 駐車場で車に少しこすってしまった
  • ガードレールや電柱に衝突してしまった
  • 相手の車はへこんだが、お互いに全く怪我はなかった

物損事故は、原則として行政処分(違反点数の加算)や刑事罰の対象にはなりません

損害賠償の範囲も、壊れた物の修理費用や代車費用などに限定され、原則として慰謝料を請求することはできません。

ただし、事故直後は興奮していて痛みを感じなくても、数日経ってからむちうちなどの症状が現れることも少なくありません。

そのような場合は、速やかに病院で診察を受け、警察で物損事故から人身事故へ切り替える、または「人身事故証明書入手不能理由書」を保険会社に提出することが必要です。

項目人身事故物損事故
被害の対象人の死傷(物の損壊も含む)物のみ
慰謝料請求可能原則として不可
行政処分・刑事罰ありなし

【一覧比較】人身事故と物損事故の7つの相違点

交通事故は、被害者の死傷の有無によって「人身事故」と「物損事故」の2つに大きく分けられ、その後の手続きや受け取れる賠償金に大きな影響を与えます。

ここでは、両者の具体的な7つの違いを分かりやすく比較し、解説していきます。

違い1.慰謝料請求の可否

最も大きな違いの一つは、精神的苦痛に対する賠償金である「慰謝料」を請求できるかどうか、だとよく説明されています。

人身事故では、ケガによる痛みや治療のための通院、後遺障害が残ったことなどによる精神的な苦痛に対して、慰謝料を請求することができます。 これには、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などが含まれます。

一方、物損事故では、車や所持品が壊れたことによる精神的苦痛を理由とした慰謝料は、原則として認められません。 あくまで賠償の対象は、壊れた物の修理費や時価額といった経済的な損害に限られます。

実際は、物損事故でも治療費や慰謝料は請求できます

物損の事故証明でも「人身事故証明書入手不能理由書」という書類を添付すれば自賠責保険会社に全損害の補償を請求できます。

違い2.適用される保険の種類

交通事故で利用できる自動車保険は、人身事故か物損事故かによって異なります。

自賠責保険は人身事故のみ

全ての自動車に加入が義務付けられている「自賠責保険」は、人身事故の被害者を救済するための最低限の保険です。

そのため、適用範囲は治療費や慰謝料、休業損害といった人的損害に限定されており、物損事故で壊れた車の修理費などには一切使えません。

任意保険の対人賠償と対物賠償

ドライバーが任意で加入する「任意保険」には、人身事故に対応する「対人賠償保険」と、物損事故に対応する「対物賠償保険」があります。

事故の種類に応じて、どちらの保険が使われるかが決まります。加害者が任意保険に加入していない場合、物損事故の被害者は加害者本人に直接損害賠償を請求する必要があります。

違い3.行政処分と刑事処分の有無

加害者が受ける法的なペナルティにも明確な差があります。

人身事故の違反点数と罰金

人身事故を起こすと、加害者には運転免許の違反点数が加算され、免許停止や免許取消といった「行政処分」が科されます。

さらに、過失運転致死傷罪などの「刑事処分」の対象となり、罰金刑や懲役刑が科される可能性もあります。

物損事故は原則として罰則なし

物損事故の場合、原則として違反点数の加算や刑事罰はありません

ただし、信号無視などの交通違反が原因であった場合や、当て逃げ(危険防止等措置義務違反)をした場合は、別途罰則の対象となります。

違い4.警察が作成する書類

事故後に警察が作成する書類も異なります。これらの書類は、後の示談交渉で重要な証拠となります。過失割合で揉めた場合に重要なポイントです。

人身事故では、警察官が現場の詳細な調査を行い、「実況見分調書」という詳細な書類を作成します。

これには、現場の見取り図や写真、当事者の指示説明などが記録され、過失割合を判断する上で非常に有力な証拠となります。そのため、過失で揉めそうな事案であれば人身事故にしましょう。

これに対し、物損事故で作成されるのは「物件事故報告書」という簡易的な書類です。

実況見分調書ほどの詳細な記載はなく、事故があった事実を証明する程度の役割となります。

違い5.損害賠償請求の時効期間

加害者に対して損害賠償を請求できる権利には「時効」があり、この期間も人身事故と物損事故で異なります。

2020年4月1日に施行された改正民法により、人の生命または身体の侵害に対する損害賠償請求権の時効は、損害および加害者を知った時から5年となりました。

一方、物損に関する損害賠償請求権の時効は、従来通り3年です。 ケガの治療が長引いている間に、車の修理費を請求する権利が時効になってしまうケースもあるため注意が必要です。

事故の種類損害賠償請求権の時効期間
人身事故(傷害・死亡)5年
物損事故3年

違い6.賠償金の項目と金額

被害者が請求できる賠償金の項目と、その総額も大きく異なります。

人身事故では、治療費や通院交通費、仕事を休んだことによる休業損害、将来得られるはずだった収入を失ったことに対する逸失利益、そして慰謝料など、請求できる項目が多岐にわたります。 そのため、賠償金の総額は高額になる傾向があります。

物損事故で請求できるのは、主に車の修理費用や代車費用、評価損(事故により車の価値が下がったことへの賠償)などに限定されます。

実際は、物損事故でも治療費や慰謝料は請求できます

先程同様、物損の事故証明でも「人身事故証明書入手不能理由書」という書類を添付すれば自賠責保険会社に全損害の補償を請求できます。

違い7.示談交渉の相手と内容

賠償金について話し合う「示談交渉」の相手や内容も変わってきます。

人身事故の場合、交渉相手は加害者が加入する任意保険会社の担当者となることがほとんどです。

治療の経過や後遺障害の等級認定など、専門的な内容について長期間にわたって交渉が行われます。

物損事故の示談交渉も保険会社が相手となることが多いですが、交渉内容は修理費の見積もりなどが中心で、比較的短期間で終わることが多いです。

ただし、被害者にも過失がある事故では、被害者側の保険会社が示談交渉を代行してくれるのが一般的です。

物損事故から人身事故への切り替え手続き

交通事故の直後は興奮状態にあったり、目立った外傷がなかったりして痛みを感じにくく、とりあえず物損事故として警察に届け出るケースは少なくありません。

しかし、後日むちうちなどの症状が現れた場合は、物損事故から人身事故へ切り替えることも可能です。

適切な治療費や慰謝料の支払いを受けるために、必要性を感じたら速やかに手続きを進めましょう。

切り替えが必要になるケース

事故当初は物的損害だけだと思っていても、以下のような状況では人身事故への切り替えを検討すべきです。

  • 事故から数時間~数日経ってから首や腰、関節などに痛みやしびれが出てきた(むちうちなど)。
  • 軽い打撲だと思っていたが、病院で検査した結果、骨折やヒビ、内出血などが判明した。
  • 頭を打った後、めまいや吐き気、頭痛などの症状が続くようになった。

警察への診断書の提出方法と期限

医師が作成した「診断書」を警察に提出すると、物損事故から人身事故へ切り替わります。

手続きの基本的な流れは以下の通りです。

1
整形外科など病院を受診する

まず、交通事故によるケガであることを診断してもらうため、速やかに病院(できれば整形外科)を受診します。 そこで医師に診断書を作成してもらいましょう。

2
警察署へ連絡・提出

次に、事故現場を管轄する警察署の交通課に連絡し、人身事故に切り替えたい旨を伝えます。その後、診断書や運転免許証、車検証などを持参して警察署へ行き、手続きを行います。

3
保険会社への報告

警察での手続きが完了したら、自身が加入している保険会社と、加害者側の保険会社の両方に、人身事故に切り替わったことを必ず連絡してください。

診断書の提出に法律で定められた明確な期限はありませんが、事故発生から1週間~10日以内を目安に、できるだけ早く提出することが推奨されています

事故から時間が経過しすぎると、そのケガと交通事故との因果関係を証明するのが難しくなり、警察が切り替えを受理してくれない可能性があるため注意が必要です。

切り替えのメリットとデメリット

人身事故への切り替えには被害者にとってメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。両方を理解した上で判断することが大切です。

メリット(被害者側)デメリット(被害者側)
事故の記録警察による詳細な「実況見分調書」が作成され、後の示談交渉や裁判で有力な証拠となる。手続きに時間や手間がかかる。
加害者への影響加害者に刑事罰(罰金など)や行政処分(免許の違反点数加算)が科される。加害者との関係が悪化し、示談交渉がスムーズに進まなくなる可能性がある。

基本的には、ケガをしているのであれば、デメリットを考慮しても人身事故へ切り替えるメリットの方が大きいと言えます。

加害者から「物損事故のままにしてほしい」と頼まれることもありますが、ご自身の体のこと、そして正当な補償を受ける権利を最優先に考えましょう。

【事故後の流れ】人身事故と物損事故での違い

交通事故が発生した後の対応は、その事故が人身事故か物損事故かによって、手続きの流れや注意点が大きく異なります。事故直後から保険会社とのやり取りまで、それぞれの違いを正しく理解し、落ち着いて行動することが重要です。

事故発生直後の対応

事故が起きた直後は、人身・物損にかかわらず、まず負傷者の救護と道路上の危険防止措置を行い、そして必ず警察に連絡する義務があります

これは道路交通法で定められた運転者の義務であり、怠ると罰則の対象となる可能性があります。

その後の警察による現場での対応は、人身事故か物損事故かで以下のように異なります。

対応項目人身事故の場合物損事故の場合
警察への報告必須(刑事事件として捜査)

事故発生日時、場所、死傷者の数や負傷の程度、損壊した物とその程度などを詳細に報告します。
必須(行政手続きとして処理)

人身事故と同様に報告義務があります。報告を怠ると交通事故証明書が発行されません。
現場での警察の対応実況見分が行われる

刑事事件として扱うため、当事者立ち会いのもとで事故状況を詳細に調べる「実況見分」が行われ、「実況見分調書」が作成されます。 これは後の示談交渉で重要な証拠となります。
簡易的な現場確認のみ

原則として犯罪ではないため、実況見分は行われず、当事者から簡単な聞き取りをする程度で終わることが多いです。
必要な書類医師の診断書

体に少しでも痛みや違和感があれば、速やかに病院で診察を受け、警察に診断書を提出することで正式に人身事故として扱われます。
特になし
(ただし、車の修理見積書などは後に必要)

保険会社とのやり取り

警察への連絡が終わったら、速やかに自身が加入している保険会社と相手方の保険会社に連絡します。 ここからの流れも、人身事故と物損事故では大きく異なります。

人身事故の場合の保険会社との交渉

人身事故では、治療関係費、入通院慰謝料、後遺障害が残った場合の逸失利益など、損害賠償の項目が多岐にわたり、金額も高額になる傾向があります。 主なやり取りの流れは以下の通りです。

1
治療費の支払い

加害者側の保険会社が病院に直接治療費を支払う「一括対応」が一般的です。

2
症状固定と後遺障害等級認定

治療を続けてもこれ以上の改善が見込めない状態(症状固定)になった後、後遺症が残った場合は「後遺障害等級認定」の申請手続きを行います。

3
示談交渉の開始

全ての損害額(治療費、慰謝料、休業損害など)が確定してから、加害者側の保険会社と本格的な示談交渉が始まります。

物損事故の場合の保険会社との交渉

物損事故の交渉は、壊れた物(主に車両)の修理費用や代車費用などが中心となります。 人身事故に比べて損害項目が限定的で、手続きも比較的シンプルです。

1
損害額の確定

修理工場などから見積もりを取り、車の修理費用を確定させます。

2
過失割合の交渉

警察が作成した資料や事故状況を基に、当事者双方の保険会社が過失割合を協議して決定します。

3
示談交渉

修理費用と過失割合が決まったら、それに基づいて示談交渉を行い、賠償金額が決定します。

このように、事故後の流れは人身事故か物損事故かで大きく異なります。特に体に少しでも異常を感じた場合は、安易に物損事故として処理せず、必ず病院を受診し、人身事故への切り替えを検討することが後の正当な補償を受けるために非常に重要です。

人身事故か物損事故か迷ったら弁護士へ相談

交通事故に遭った直後は、気が動転して冷静な判断が難しいものです。「体に痛みはないから物損事故でいいか」「手続きが面倒だから早く済ませたい」と考えてしまうかもしれません。

しかし、その判断が、後で受け取れるはずの慰謝料や治療費に大きく影響することがあります。

少しでも体に違和感があったり、相手方保険会社の対応に疑問を感じたりした場合は、すぐに弁護士へ相談することを強くおすすめします。

専門家である弁護士に相談することで、ご自身の状況が法的にどう判断されるのか、今後どのような対応を取るべきか、的確なアドバイスを受けられます。

初期対応を誤ると後から取り返しがつかなくなるケースもあるため、まずは専門家の意見を聞くことが非常に重要です。

弁護士に相談すべき具体的なケース

特に、以下のような状況に当てはまる場合は、お早めに弁護士に相談しましょう。

  • 事故直後は痛みがなかったが、後から首や腰に痛み・しびれが出てきた
  • 病院で「むちうち」と診断されたが、物損事故として処理されている
  • 加害者側の保険会社から、治療費の支払いを打ち切ると言われた
  • 提示された過失割合に納得がいかない
  • 後遺障害が残りそうで、今後の手続きが不安
  • 保険会社から提示された示談金の金額が妥当なのか分からない

これらのケースでは、被害者自身で対応すると不利な条件で話が進んでしまう可能性があります。専門知識を持つ弁護士が間に入ることで、状況が大きく改善されることが期待できます。

弁護士に相談する3つの大きなメリット

弁護士に依頼すると、費用がかかるというイメージがあるかもしれません。しかし、それ以上に大きなメリットを享受できる可能性が高いのです。

メリット1:適切な賠償金を獲得できる可能性が高まる

交通事故の賠償金(慰謝料など)の算定には、実は3つの基準があります。

基準の種類概要
自賠責基準法律で定められた最低限の補償を行う基準
任意保険基準各保険会社が独自に設定している基準
弁護士基準(裁判基準)過去の裁判例をもとにした法的に最も正当な基準

加害者側の保険会社が提示してくる金額は、通常「任意保険基準」で計算されており、法的に認められるべき「弁護士基準(裁判基準)」よりも低い金額であることがほとんどです。

弁護士が交渉することで、この最も高額な弁護士基準での賠償金獲得を目指すことができます。

メリット2:保険会社との交渉や手続きを一任できる

交通事故の被害に遭い、心身ともに辛い状況で、相手方の保険会社の担当者と直接交渉を行うのは非常に大きなストレスとなります。

弁護士に依頼すれば、この煩わしい交渉や複雑な手続きをすべて任せることができます。被害者の方は治療に専念し、一日も早い回復を目指すことが可能になります。

メリット3:人身事故への切り替えをスムーズに進められる

当初は物損事故として届け出ていたものの、後から痛みが出てきた場合、人身事故への切り替え手続きが必要です。この切り替えには、警察署での手続きや医師の診断書の提出などが必要になります。

弁護士は、どのような書類が必要か、どのような手順で進めればよいかを的確にアドバイスし、手続きをスムーズに進めるサポートをしてくれます。

弁護士費用特約の確認を忘れずに

弁護士への依頼をためらう一番の理由が「費用」かもしれません。しかし、ご自身やご家族が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯していませんか?

この特約を利用すれば、多くの場合、上限額(一般的に300万円)まで自己負担なく弁護士に相談・依頼することが可能です。この金額を超えることは稀で、自分の手出しになることはほとんどありません。

弁護士費用特約は、自動車保険だけでなく、火災保険や傷害保険に付帯している場合もあります。まずはご自身の保険契約の内容を確認してみましょう。特約を使っても保険の等級が下がることはありませんので、安心して利用できます。

相談のタイミングと無料相談の活用

弁護士への相談は、事故発生後、できるだけ早いタイミングで行うのが理想です。記憶が新しいうちに相談することで、より正確な状況を伝えることができ、弁護士も的確な初動対応のアドバイスがしやすくなります。

多くの法律事務所では、交通事故に関する初回相談を無料で行っています。「弁護士に相談するほどのことだろうか」と悩む前に、まずは無料相談を活用し、専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。

まとめ

この記事では、人身事故と物損事故の根本的な違いから、慰謝料、保険、罰則、時効といった具体的な相違点まで詳しく解説しました。

人身事故と物損事故の最大の違いは「人の死傷の有無」にあり、この違いが慰謝料請求の可否や適用される保険の種類を大きく左右します。

人の損害を対象とする人身事故では、被害者の精神的苦痛に対する慰謝料が認められ、強制加入である自賠責保険が適用されます。一方で、物の損害のみを対象とする物損事故では、原則として慰謝料は請求できず、自賠責保険も適用されません。

また、加害者が負う責任も大きく異なります。人身事故の場合は運転免許の違反点数が加算される行政処分や、罰金・懲役といった刑事処分の対象となりますが、物が壊れただけの物損事故では、原則としてこれらの罰則はありません。

特に重要なのは、事故直後は痛みを感じなくても、後日症状が現れるケースです。その際は、必ず医師の診断書を取得し、警察へ届け出て物損事故から人身事故へ切り替える手続きを行ってください。この手続きを怠ると、本来受け取れるはずの治療費や慰謝料といった正当な賠償を受けられなくなる可能性があります。

万が一、交通事故に遭ってしまい、どちらの事故として対応すべきか、あるいは保険会社との交渉に不安を感じた場合は、一人で悩まずに交通事故問題に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。専門家の助言を得ることで、ご自身の権利を守り、適切な解決へと繋げることができます。

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