交通事故で加入保険会社から弁護士を紹介され、安易に依頼して後悔しないか不安な方へ。
この記事を読めば、保険会社が弁護士を紹介する背景と目的、潜むデメリット、依頼前に確認すべき重要ポイント、そして自分で弁護士を選ぶメリットまで網羅的に理解できます。
保険会社紹介の弁護士は必ずしも被害者の利益を最優先するとは限らないため、慎重な検討が不可欠です。
なぜ保険会社は弁護士を紹介するのか? その背景と目的
交通事故に遭われた際、ご自身が加入している保険会社から弁護士を紹介されるケースがあります。一見すると親切な対応に思えますが、その背景には保険会社側の事情や目的も存在します。
この章では、なぜ保険会社が弁護士を紹介するのか、その理由と、被害者の方が理解しておくべきポイントについて解説します。
保険会社が弁護士を紹介する一般的な理由
保険会社が弁護士を紹介する主な理由は、事故対応の円滑化と早期解決です。具体的には以下のような点が挙げられます。
- 事故対応の効率化
被害者との交渉や法的手続きを弁護士に委任することで、保険会社は自社のリソースを他の業務に集中できます。特に複雑な事案や、被害者とのコミュニケーションが難しい場合に有効です。 - 紛争の早期解決
弁護士が介入することで、法的な観点から争点が整理され、示談交渉がスムーズに進むことが期待されます。紛争が長引けば、それだけ保険会社の対応コストも増加するため、早期解決は保険会社にとってもメリットがあります。 - 適切な賠償額の算出と支払い
法的な専門家である弁護士が関与することで、判例や法的基準に基づいた適切な賠償額の範囲内で解決を図ろうとします。これにより、不当に高額な請求や、逆に低すぎる賠償額での合意を防ぐという側面もあります。 - 被害者への配慮(建前として)
弁護士に依頼する手段を持たない、あるいはその方法が分からない被害者に対して、専門家へのアクセスを提供するという社会的な意義をアピールする目的も含まれることがあります。
これらの理由は、保険会社側の業務効率化やコスト削減の視点が大きく関わっています。参考情報として、【公式】日弁連交通事故相談センター|弁護士が直接無料相談では、交通事故問題における弁護士の役割について解説されています。
被害者にとってのメリットと誤解しやすいポイント
保険会社から弁護士を紹介されることは、被害者の方にとっていくつかのメリットがある一方で、誤解しやすい点や注意すべき点も存在します。
メリット
- 弁護士を探す手間が省ける
自分で一から弁護士を探す手間や時間を節約できます。特に事故直後で心身ともに負担が大きい時期には助かるでしょう。 - 弁護士費用特約を利用しやすい
ご自身の自動車保険に弁護士費用特約が付帯している場合、保険会社紹介の弁護士であれば、特約利用の手続きがスムーズに進むことが多いです。この特約を利用すれば、弁護士費用を自己負担することなく依頼できる可能性があります。 - 早期に専門家のアドバイスを受けられる
すぐに弁護士とコンタクトを取り、法的なアドバイスを受け始めることができます。
誤解しやすいポイントと注意点
誤解しやすいポイント | 注意すべき実態 |
---|---|
保険会社紹介の弁護士は「自分の絶対的な味方」である。 | 弁護士は中立的な立場であるべきですが、紹介元である保険会社との関係性から、完全に被害者側の利益のみを追求するとは限りません(利益相反の可能性)。 |
紹介される弁護士は必ず交通事故案件に最も精通している。 | 保険会社と提携している弁護士が紹介されますが、必ずしもその地域や案件の種類において最も専門性が高い弁護士であるとは限りません。 |
保険会社が紹介するので、全て任せておけば安心である。 | 弁護士に依頼した場合でも、最終的な判断はご自身で行う必要があります。任せきりにせず、主体的に関与する姿勢が重要です。 |
このように、保険会社からの弁護士紹介は、一概に良いとも悪いとも言えません。メリットを享受しつつも、潜在的なデメリットやリスクを理解した上で、慎重に判断することが求められます。
【要注意】保険会社紹介の弁護士に潜むデメリットとリスク
交通事故の被害に遭われた際、ご自身が加入している保険会社から「弁護士を紹介しましょうか?」と提案されることがあります。一見すると親切な申し出に思えますが、安易に依頼してしまう前に知っておくべきデメリットやリスクがあります。
ここでは、保険会社紹介の弁護士に依頼する場合の注意点を詳しく解説します。
利益相反の可能性を理解する
保険会社が紹介する弁護士は、保険会社から継続的に仕事の紹介を受けている関係にあることが多いです。弁護士にとって保険会社は大切なお客様(紹介元)であるため、その意向を完全に無視して被害者のためだけに全力で活動できるか、という点には注意が必要です。
具体的には、保険会社は自社の支出となる保険金の支払いをできるだけ抑えたいと考えるのが自然です。そのため、紹介された弁護士が、被害者の利益を最大限に追求するよりも、保険会社の意向を汲んだ解決(例えば、低めの示談金額や早期の解決)を優先してしまう「利益相反」のリスクが潜んでいます。
これは、弁護士が誰のために仕事をしているのか、という根本的な問題に関わってきます。
弁護士の行動を規律する弁護士職務基本規程では、利益相反行為は禁止されていますが(第27条、第28条など)、紹介の構造上、被害者と保険会社の間に立ち、中立的な立場を取りにくい場合があることは理解しておくべきでしょう。
弁護士の専門分野と経験は十分か
弁護士にはそれぞれ得意とする専門分野があります。離婚問題、企業法務、労働問題など、多岐にわたります。
交通事故の損害賠償請求は、後遺障害の等級認定、過失割合の判断、休業損害や逸失利益の計算など、医学的な知識や複雑な法律知識、そして保険実務の理解が求められる専門性の高い分野です。
保険会社から紹介される弁護士が、必ずしも交通事故案件の解決実績が豊富で、高い専門性を持っているとは限りません。もし、交通事故案件の経験が浅い弁護士や、専門外の弁護士が担当になった場合、被害者にとって以下のような不利益が生じる可能性があります。
- 適切な後遺障害等級の獲得に向けたアドバイスや立証活動が不十分になる。
- 相手方保険会社との交渉において、法的に認められるべき正当な賠償額(裁判所基準)よりも低い金額で示談を勧められる。
- 複雑な事案や争点の多い事案で、的確な対応が期待できない。
交通事故案件で弁護士に求められる専門知識・スキルには、例えば以下のようなものがあります。
求められる専門知識・スキル | 具体例 |
---|---|
医学的知識 | むちうち、骨折、高次脳機能障害など、交通事故による怪我の症状、治療法、後遺障害に関する深い理解。 |
保険制度の知識 | 自賠責保険や任意保険の仕組み、保険金の支払い基準、過失割合の算定方法などに関する正確な知識。 |
裁判例・判例の知識 | 類似の交通事故に関する過去の裁判例や判例を把握し、適切な賠償額の基準を理解していること。 |
交渉力・立証能力 | 相手方保険会社や弁護士と対等に交渉し、被害者の主張を裏付ける証拠を収集・提出する能力。 |
紹介された弁護士に依頼する前に、交通事故案件の取り扱い実績や得意分野について、具体的に確認することが非常に重要です。
示談交渉が早期終結に偏る可能性
保険会社は、事件対応にかかる費用や手間を抑えるため、交通事故の示談交渉をできるだけ早期に終結させたいと考える傾向があります。これは、企業としての経営判断からすれば合理的な側面もあります。
しかし、保険会社から紹介された弁護士が、この保険会社の意向を強く意識しすぎると、被害者の治療がまだ十分でない段階や、後遺障害の有無や等級が適切に評価される前に、示談を急ぐよう促すことがあります。
例えば、「これ以上治療を続けても症状は改善しないでしょう」「早く示談した方があなたのためです」といった言葉で、早期の解決を迫られるケースも考えられます。
被害者にとっては、十分な治療を受けて心身の回復を図ること、そして残ってしまった後遺障害に対して正当な補償を受けることが最も重要です。
焦って示談に応じてしまうと、後になって新たな後遺障害が判明したり、実はもっと高額な賠償金を受け取れる可能性があったりしても、原則として示談内容を覆すことは非常に困難です。
示談交渉のタイミングや内容については、弁護士任せにせず、ご自身の状況をしっかりと伝え、納得できるまで話し合う姿勢が大切です。
加入する保険会社側から弁護士を紹介されたときに確認すべき5つの重要ポイント
保険会社から弁護士を紹介されたとしても、すぐに依頼を決める必要はありません。ご自身の状況や希望に合う弁護士かどうかを見極めるために、以下の5つのポイントをしっかりと確認しましょう。
弁護士との面談で質問すべきことリスト
紹介された弁護士とは、必ず直接面談する機会を設けましょう。その際に確認しておきたい主な質問事項を以下にまとめました。これらの質問を通じて、弁護士の経験や方針、人となりを理解することが大切です。
確認カテゴリ | 質問例 | 確認する目的 |
---|---|---|
交通事故案件の経験 | これまで交通事故案件を何件くらい担当されましたか?特に力を入れている分野はありますか? | 交通事故問題解決の実績や専門性の度合いを把握する。 |
事件の見通しと方針 | 私のケースについて、現時点での見通しや解決に向けた方針を教えていただけますか? | 弁護士の事件分析力や、依頼者と認識を共有できるかを確認する。 |
費用について | 相談料、着手金、報酬金、実費はそれぞれどのようになりますか?追加費用が発生する可能性はありますか? | 費用体系の透明性を確認し、予期せぬ出費を防ぐ。 |
コミュニケーション | 進捗状況の報告はどのくらいの頻度で、どのような方法(電話、メールなど)で行っていただけますか? | 円滑なコミュニケーションが取れるか、報告体制を確認する。 |
担当体制 | 実際に私の案件を担当してくださるのは先生ご自身ですか?それとも他の弁護士ですか? | 主担当者が誰になるのかを明確にする。 |
この他にも、ご自身が不安に思っていることや疑問点は遠慮なく質問しましょう。
弁護士の専門性と実績の確認方法
交通事故の被害者救済には、高度な専門知識と交渉力、そして豊富な経験が不可欠です。紹介された弁護士が本当に交通事故問題に精通しているかを確認しましょう。
- 弁護士事務所のウェブサイトを確認する
取扱分野として「交通事故」が明記されているか、解決事例やお客様の声などが掲載されているかを確認します。特に交通事故に関する専門ページが充実している場合は、力を入れている可能性が高いです。 - 面談で直接質問する
前述の「弁護士との面談で質問すべきことリスト」を活用し、具体的な経験年数や過去に取り扱った事案、特に類似ケースでの実績などを尋ねましょう。 - 弁護士会や法律相談ポータルの情報を参考にする
日本弁護士連合会のウェブサイトでは、弁護士情報を検索できる場合があります(日本弁護士連合会:弁護士検索)。また、交通事故専門の法律相談サイトなどで紹介されている弁護士も参考になります。
単に「弁護士」というだけでなく、「交通事故に強い弁護士」であるかどうかが重要なポイントです。
費用体系と弁護士費用特約の利用について
弁護士に依頼する際には、費用がどの程度かかるのかを明確にしておく必要があります。また、ご自身が加入している自動車保険などに「弁護士費用特約」が付帯していれば、弁護士費用を保険でカバーできる場合があります。
確認すべき費用項目:
- 相談料:法律相談をする際にかかる費用です。初回無料の事務所も多くあります。
- 着手金:弁護士に正式に依頼する際に支払う費用です。事件の結果に関わらず返金されないのが一般的です。
- 報酬金:事件が解決した際に、その成果に応じて支払う費用です。賠償金の何%といった形で設定されることが多いです。
- 実費:交通費、郵便費、印紙代など、事件処理のために実際にかかった費用です。
弁護士費用特約の確認:
ご自身の自動車保険や火災保険、傷害保険などに弁護士費用特約が付帯していないか確認しましょう。
この特約が利用できれば、自己負担なし、あるいは少額の負担で弁護士に依頼できる可能性があります。保険会社紹介の弁護士でなくても、この特約を利用できるケースがほとんどです。
特約の利用条件や補償範囲については、ご加入の保険会社に事前に確認することが重要です。
紹介された弁護士に依頼する場合でも、費用体系について書面で明確に提示してもらい、十分に理解した上で契約するようにしましょう。
コミュニケーションの取りやすさと相性
交通事故の解決には時間がかかることもあり、その間、弁護士とは密に連絡を取り合うことになります。そのため、コミュニケーションの取りやすさや、弁護士との相性も非常に重要です。
- 説明の分かりやすさ:専門用語を避け、分かりやすい言葉で丁寧に説明してくれるか。
- 質問のしやすさ:こちらの話を親身に聞き、疑問点や不安な点について気軽に質問できる雰囲気か。
- 報告・連絡の頻度と方法:事件の進捗について、どの程度の頻度で、どのような手段(電話、メール、書面など)で報告してくれるか。
- 人柄や話し方:威圧的でなく、信頼できると感じられるか。冷静かつ論理的に話をしてくれるか。
面談を通じて、「この弁護士になら安心して任せられる」と思えるかどうか、ご自身の感覚も大切にしてください。少しでも違和感を覚えるようであれば、他の弁護士も検討することをおすすめします。
他の選択肢も検討する姿勢
保険会社から弁護士を紹介された場合でも、その弁護士に必ず依頼しなければならないわけではありません。「紹介されたから」という理由だけで安易に決めてしまうのではなく、他にも選択肢があることを理解しておきましょう。
具体的には、以下のような行動が考えられます。
- 自分で他の弁護士を探して相談してみる:インターネット検索や弁護士会の相談窓口などを利用して、交通事故に強い弁護士を自分で探し、相談してみましょう。複数の弁護士の意見を聞くことで、より客観的な判断ができます。
- セカンドオピニオンを求める:紹介された弁護士の方針や見解に疑問を感じた場合、他の弁護士にセカンドオピニオンを求めることも有効です。異なる視点からのアドバイスは、より良い解決策を見つける手助けになります。
保険会社紹介の弁護士に依頼するメリットもありますが、デメリットやリスクも考慮した上で、最終的にはご自身が納得できる弁護士を選ぶことが最も重要です。そのためにも、常に他の選択肢を視野に入れ、主体的に弁護士選びを行う姿勢を持ちましょう。
自分で弁護士を探すという選択肢 メリットと探し方
保険会社から紹介された弁護士に依頼する以外にも、ご自身で交通事故に強い弁護士を探すという選択肢があります。ここでは、そのメリットと具体的な探し方について解説します。
自分で交通事故の弁護士を選ぶメリットとは
ご自身で弁護士を選ぶことには、以下のようなメリットがあります。保険会社紹介の弁護士と比較しながら検討してみましょう。
- 被害者の利益を最優先に考えてもらえる可能性が高い:保険会社との利害関係がないため、純粋に被害者の方の立場に立ち、正当な権利を守るために尽力してくれることが期待できます。
- 交通事故分野の専門性と実績で選べる:交通事故の案件処理実績が豊富か、後遺障害等級認定のサポートに強いかなど、ご自身の状況に合わせて専門性の高い弁護士をじっくり選ぶことができます。
- 納得いくまで交渉を任せられる:保険会社紹介の弁護士の場合、早期解決を重視するあまり、必ずしも十分とは言えない条件で示談を勧められるケースも考えられます。自分で選んだ弁護士であれば、ご自身の意向をより尊重し、粘り強く交渉してくれるでしょう。
- 費用体系の透明性と選択の自由:複数の弁護士事務所の費用体系を比較検討し、ご自身の予算や弁護士費用特約の利用状況に合わせて、納得のいく弁護士を選ぶことができます。
交通事故に強い弁護士の見つけ方
交通事故問題の解決を安心して任せられる弁護士を見つけるためには、いくつかの方法があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身に合った探し方を選びましょう。
探し方 | メリット | デメリット・注意点 |
---|---|---|
弁護士会の相談窓口 | 中立的な立場で相談可能、信頼性が高い | 必ずしも交通事故専門の弁護士が紹介されるとは限らない、弁護士を選べない場合がある |
インターネット検索・法律相談サイト | 情報が豊富、実績や得意分野で比較しやすい、自宅で手軽に探せる | 情報が多すぎて選ぶのが難しい、ウェブサイトの情報だけでは実力が判断しにくい |
知人からの紹介・口コミ | 信頼できる情報源となる場合がある、安心感がある | 紹介された弁護士が交通事故に強いとは限らない、個人的な関係性が影響することも |
当サイト運営のさとう接骨院への相談 | 整形外科とも連携し、交通事故のトータルサポートが期待できる、気軽に相談しやすい | 紹介される弁護士の選択肢が限られる場合がある |
弁護士会の相談窓口の活用
各都道府県の弁護士会では、交通事故に関する法律相談窓口を設けている場合があります。公的な機関なので安心して相談でき、場合によっては交通事故案件を扱っている弁護士を紹介してもらえることもあります。
お住まいの地域の弁護士会のウェブサイトを確認してみましょう。例えば、日本弁護士連合会(日弁連)のウェブサイトでは、全国の弁護士会の法律相談センターを検索できます。
インターネットでの検索と法律相談サイトの利用
インターネットで「交通事故 弁護士 〇〇市」「むちうち 慰謝料 弁護士」といったキーワードで検索すると、多くの弁護士事務所や法律事務所のウェブサイトが見つかります。
また、弁護士ドットコムやココナラ法律相談のような法律相談ポータルサイトでは、地域や専門分野で弁護士を検索でき、実績や利用者からの口コミも参考にできます。
ただし、ウェブサイトの情報だけでなく、実際に相談して弁護士の人柄や説明の分かりやすさを確認することが重要です。
知人からの紹介や口コミを参考にする
過去に交通事故の被害に遭い、弁護士に依頼して解決した経験のある知人がいれば、その弁護士を紹介してもらうのも一つの方法です。
実際に依頼した人の体験談は参考になりますが、その弁護士が必ずしもご自身のケースに適しているとは限りません。紹介された場合でも、必ず面談し、交通事故案件の経験や実績、費用などをしっかり確認しましょう。
当サイト運営のさとう接骨院に相談する
当サイトを運営するさとう接骨院では、交通事故によるむちうち治療などの施術を行っております。交通事故の被害者の方々をサポートする中で、法的な問題でお困りの声を伺うことも少なくありません。
当院では、必要に応じて交通事故案件に精通した弁護士をご紹介することも可能です。治療と並行して法的なサポートについてもお気軽にご相談ください。まずはお体の状態を整えながら、今後の対応について一緒に考えていきましょう。
保険会社紹介の弁護士に依頼する場合の心構えと注意点
保険会社から紹介された弁護士に依頼することを決めた場合でも、安心して任せきりにするのではなく、いくつかの心構えと注意点があります。これらを意識することで、より納得のいく解決を目指しましょう。
依頼後も主体的に関わる姿勢が重要
弁護士に依頼したからといって、すべてを丸投げにするのは避けましょう。ご自身の交通事故の問題ですから、当事者として主体的に関わる意識を持つことが大切です。
弁護士は法律の専門家ですが、事故の詳しい状況や、ご自身がどうしたいかという希望を最もよく理解しているのは、あなた自身です。弁護士任せにせず、積極的に情報を提供し、疑問点は解消していくことで、より良い結果に繋がる可能性が高まります。
定期的な報告を求め進捗を確認する
弁護士に依頼した後も、定期的に進捗状況の報告を求めるようにしましょう。交渉がどのように進んでいるのか、どのような課題があるのかを把握することで、安心して任せることができますし、必要に応じてご自身の意見を伝えることもできます。
報告の頻度や方法(電話、メール、面談など)については、依頼する際に弁護士としっかり話し合っておくとスムーズです。もし、約束した時期に報告がない場合や、状況が分からず不安な場合は、遠慮なく問い合わせて確認しましょう。
進捗確認の際にチェックしておきたいポイントの例を挙げます。
- 相手方保険会社との交渉はどこまで進んでいるか
- 証拠収集の状況(追加で必要なものはあるかなど)
- 今後の交渉の見通しや、おおよそのスケジュール
- 提示されている、あるいは見込まれる示談金の額と、その根拠(ただし、交渉状況によって変動する可能性があることは理解しておきましょう)
不明な点は遠慮なく質問する
弁護士の説明や示談交渉の方針について、少しでも疑問や不安を感じた場合は、遠慮なく質問することが非常に重要です。
法律の専門用語や複雑な手続きは、一般の方には分かりにくいことが多くあります。「こんなことを聞いたら失礼かもしれない」「無知だと思われるのではないか」などとためらう必要はありません。納得できるまで説明を求めることは、依頼者としての正当な権利です。
疑問点を解消し、弁護士と認識を共有することで、信頼関係を築き、より良い協力体制で問題解決に臨むことができます。
質問する際には、以下の点を意識すると良いでしょう。
- 何が分からないのか、何についてもっと詳しく知りたいのかを具体的に伝える
- 感情的にならず、冷静に、知りたいという姿勢で質問する
- 弁護士からの回答はメモを取り、後で内容を再確認できるようにする
- もし一度で理解できなければ、再度質問することをためらわない
場合によってはセカンドオピニオンも検討
もし、依頼している弁護士の方針や説明になかなか納得がいかない場合、あるいはコミュニケーションがうまくいかず不安が解消されないような場合には、他の弁護士に相談して「セカンドオピニオン」を求めることも有効な手段の一つです。
セカンドオピニオンとは、現在依頼している弁護士との契約をすぐに解除するのではなく、別の独立した専門家(この場合は別の弁護士)に意見を聞くことを指します。異なる視点からのアドバイスを得ることで、現在の状況をより客観的に把握し、今後の対応について冷静に判断するための材料とすることができます。
セカンドオピニオンを検討した方が良いかもしれないケースの例としては、以下のような状況が考えられます。
- 弁護士から提示された示談金額や解決案に、どうしても納得できない点がある場合
- 弁護士の説明が不十分だと感じたり、質問に対する回答が曖昧だったりする場合
- 弁護士とのコミュニケーションが円滑に進まず、信頼関係を築くのが難しいと感じる場合
- 交渉が長引いているが、その理由や今後の見通しについて十分な説明がない場合
セカンドオピニオンをどこで受けられるかについては、お近くの弁護士会に問い合わせたり、交通事故案件に詳しい弁護士を探したりする方法があります。
例えば、日本弁護士連合会(日弁連)のウェブサイトでは、全国の弁護士会の法律相談窓口に関する情報を提供していますので、参考にしてみるのも良いでしょう。
こんなケースは特に注意 保険会社紹介の弁護士を避けるべき状況
交通事故の被害に遭われた際、ご自身が加入している保険会社から弁護士を紹介されることがあります。しかし、すべてのケースでその弁護士に依頼するのが最善とは限りません。
特に以下のような状況では、慎重な判断が求められます。
過失割合に大きな争いがある場合
交通事故の当事者間で、どちらにどれくらいの責任(過失割合)があるかについて意見が大きく食い違っているケースです。
保険会社は、自社の支出を抑えるために、契約者の過失を少なく、相手方の過失を大きく主張する傾向があります。保険会社から紹介された弁護士は、保険会社の意向を汲んで、必ずしも被害者にとって有利ではない過失割合で示談を進めようとする可能性があります。
特に、あなた自身に不利な過失割合を保険会社が主張している場合は、中立的な立場であなたの権利を最大限に守ってくれる弁護士を自分で探すことを強くおすすめします。
過失割合の交渉は賠償額に直結するため、慎重な対応が必要です。
重大な後遺障害が残る可能性がある場合
交通事故による怪我が重く、治療を続けても完治せず、後遺障害が残ってしまう可能性がある場合も注意が必要です。
後遺障害が認定されると、その等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われますが、これらは賠償金の中でも大きな割合を占めることがあります。
保険会社は、賠償金の支払額を抑えたいという立場から、後遺障害の等級認定や賠償額の算定において、被害者にとって不利な主張をすることがあります。
保険会社紹介の弁護士が、後遺障害等級の獲得や適切な賠償額の請求に必ずしも積極的でないケースも考えられます。
特に、むちうち以上の重傷や、高次脳機能障害など専門的な知識が必要となる後遺障害の場合は、交通事故と後遺障害問題に精通した弁護士を自分で選び、適切なサポートを受けることが重要です。
保険会社の対応に不信感がある場合
事故後の保険会社の担当者の説明が分かりにくかったり、高圧的な態度を取られたり、提示された示談金額が明らかに低いなど、保険会社の対応に既に不信感を抱いている場合です。
このような状況で保険会社から弁護士を紹介されても、その弁護士が本当にあなたの味方になってくれるのか、信頼関係を築くのは難しいでしょう。
弁護士との信頼関係は、納得のいく解決を得るために非常に重要です。保険会社との間で既に不信感があるなら、その保険会社が紹介する弁護士ではなく、あなた自身が信頼できると感じる弁護士を探す方が、精神的な負担も少なく、より良い結果につながる可能性が高まります。
弁護士選びでは、相談のしやすさや相性も大切です。複数の弁護士に相談してみるのも一つの方法です。
まとめ
交通事故で保険会社から弁護士を紹介された際は、安易に依頼せず慎重な判断が求められます。保険会社と弁護士、そして被害者自身の利益が必ずしも一致しない可能性があるためです。
紹介された弁護士の専門性や実績、費用体系を確認し、疑問点は遠慮なく質問しましょう。主体的に関わり、場合によっては自分で弁護士を探すことも視野に入れることで、より納得のいく解決を目指すことが重要です。
交通事故は「仙台交通事故治療むちうちナビ」にご相談ください
仙台市泉区を中心に、交通事故被害者のために全力でサポートすることをモットーにしています。どうぞ、お気軽にご相談ください。